

| 1999年 日本 カラー ヨーロッパヴィスタ(2時間27分) | |
| 配給 | サンセントシネマワークス |
| 監督 | 諏訪敦彦 |
| 出演 | 三浦友和 渡辺真起子 高橋隆大 |
「2/デュオ」の諏訪敦彦監督作品
1999年カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞受賞
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男は離婚経験があり8歳の息子がいる。女はデザイン会社に勤務し結婚経験はない。二人は共に暮らしはじめてからも、お互いの生活と自由を尊重していた。そんな二人の間に、ある日突然、男の息子が入りこんでくる―。
擬似家族の中で起こる男女の葛藤、二人にとって真の自由とは愛とは―。 98年の9月に「2/デュオ」の上映でシネ・ウインドに来館された諏訪敦彦監督は、その時既に新作を撮り終えられていた。そのタイトルをたずねたところ、監督の口から出た言葉は―「マザー」。 (「マザー?母モノなのか」)。三益愛子しか頭に思い浮かばない、想像力の乏しい私は、「2/デュオ」の監督の母モノが見当もつかなかった。 それが、昨年のカンヌ映画祭の批評家連盟賞受賞のニュースで、はじめて目にとんできた作品の表記が――「M/OHTER」。 驚いた。そして成る程と思った。「デュオ」と数字の2にルビをふった前作のタイトルに続き、諏訪監督作品は、タイトルの表記からして既に映画が始まっているのだ。「OTHER=他者」という言葉がその中に含まれている。「2/デュオ」も言ってしまえば、他人同士の2人が、他人であるが故にぶつかり合い、傷つき、壊れる映画であった。完全に理解しあえることなどない。だが、「M/OTHER」と、人間にとって最も親密な人を表す言葉の音に「OTHER」という言葉を発見すると、人間は生まれたその時から他者との関係の中で生きているのだ、というあたり前の事実にドキッとさせられる。諏訪監督は、映画もしかり、と言いたいのだろう。 本稿を書く時点で本編を未見の私は、プレスシートに掲げられた監督の言葉の一節を書き留めておきたい。 「たとえ夫婦でさえ、その謎を理解しあうことなどありえない。しかしだからこそ、くりかえしくりかえしその謎に立ち向かい、傷つけ合いながらも謎を尊重し合い、関係を続けて行くこと・・・・私はそこに、映画と人間との可能性を同時に見出したいと願った。」 「2/デュオ」同様、決められた台詞はなく、俳優自身の言葉や生き方が役柄に生命をふきこんでいる。 こうして映画作りに対してだけでなく、人間とも格闘する諏訪監督、そしてその格闘に参加した三浦友和、渡辺真起子両氏の活躍ぶりはいかなるものであったか、興味はつきない。 新しい映画の「M/OTHER」(=母)に会える日を心待ちにしている。 (KEN)
〜 月刊ウインド2000年3月号より転載 〜●監督 諏訪敦彦(すわのぶひろ)
1960年広島県出身。82年長崎俊一監督「九月の冗談クラブバンド」に助監督として参加。その後山本政志、山川直人、石井聰亙など、多くのインディペンデント映画のスタッフを務める。一方監督として、82「サンタが街にやって来る」(16ミリ)、84「はなされるGANG」(8ミリ)を発表。テレビドキュメンタリーの演出もはじめ、高い評価を得る。97年、「2/デュオ」で劇場映画デビューを飾り、この作品はロッテルダム国際映画祭で"NETPAC賞"を受賞した。続く第2作「M/OTHER」は、カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞する快挙をなしとげた。 |