新潟県編.PDF


「安吾の会」で選んだ、新潟県を舞台とする
作品の<みどころ>ポイント紹介

*株式会社筑摩書房「ちくま文庫」【坂口安吾全集全18巻】をテキストとし、作品名と紹介文を掲載。
ただし、初出誌については、安吾の会発行の「安吾探索ノート」第3号、第5号から抜粋しました。



蒼茫夢
狼園
北と南
日本の山と文学
日本文化私観
剣術の極意を語る
二流の人
露の答
堕落論

安吾風流譚
小林さんと私のツキアイ
石の下
フシギな女
新魔法使い
光を覆うものなし
直江山城守
冬の怪談
決戦川中島
裏切り
豊島さんのこと
富山の薬と越後の毒消し
土の中からの話


蒼茫夢
 ちくま文庫 坂口安吾全集1
 初出誌:「作品」
 発行年月:S10.4
翌日の早朝、宮内で乗換え、まじかに海の見える停車場
で降りた。そこが鯨波だった。戻る

地獄極楽小路
狼園	
 ちくま文庫 坂口安吾全集2
 初出誌:*未完 「文学界」
 発行年月:S11.1〜3	
私は肉親に就て物語ることがまことに不快だ。それとい
うのが肉親に特別の愛や憎しみを寄せているからではな
く、むしろ彼等に愛も憎悪も感じることがないからであ
る。それにも拘らず、肉親と私との事々のつながりに係
わる感情が、決して自然のものでない愛や憎しみを強制
する、その不自然とわずらわしさが不快なのだ。
戻る
北と南	
 ちくま文庫 坂口安吾全集14	
 初出誌:「新潟新聞」
 発行年月:S12.1/13(14付)
私は佐藤春夫や井伏鱒【旧字】二の郷愁に深い共感を覚
えがちだが彼等の故郷も郷愁もおよそ私のそれと違った
明るく暖かい南方色にみちている。然し又、私の作品を
愛し、特にその郷愁的色調を愛す人々の最も多くに南国
人を見出すという事実を附け加えたい。戻る
日本の山と文学	
 ちくま文庫 坂口安吾全集14	
 初出誌:「信濃毎日新聞」
 発行年月:S14.8/16〜8/19
馬琴が地図入りで紹介している伝説のひとつに佐渡二ツ
岩の弾三郎という狸がある。前記の断り書きも、この狸
のくだりに有るものである。戻る
日本文化私観	
 ちくま文庫 坂口安吾全集14	
 初出誌:「現代文学」
 発行年月:S17.2
昔日本に行われていたことが、昔行われていたために、
日本本来のものだということは成立たない。外国に於て
行われ、日本には行われていなかった習慣が、実は日本
人に最もふさわしいことも有り得るし、日本に於て行わ
れて、外国には行われなかった習慣が、実は外国人にふ
さわしいことも有り得るのだ。模倣ではなく、発見だ。
戻る

柾谷小路
剣術の極意を語る
 ちくま文庫 坂口安吾全集14	
 初出誌:「現代文学」
 発行年月:S17.10
三年前、小田原に住んでいたとき、一ヶ月ばかり留守に
して帰ってみたら、勝手口の南京錠が外されており、内
側から鍵がかかっていた。入口の戸、雨戸、一つ一つ調
べてみたが、みんな内側から鍵が下りている。つまり内
側には何者かがいる証拠である。戻る
二流の人	
 ちくま文庫 坂口安吾全集5
 初出誌:*「黒田如水」の改題 「現代文学」
 発行年月:S19.1	
この開運は一命をはって得たもの、生命をはる時ほど美
しい人の姿はない。当然天の恩寵を受くべくして受けた
けれども、悲しい哉、この賭博美を再び敢て行うことが
無かったのだ。ここに彼の悲劇があった。戻る

三代目万代橋
露の答	
 ちくま文庫 坂口安吾全集3
 初出誌:「新時代」
 発行年月:S20.10	
私が加茂五郎兵衛の電気伝記編纂に当ることになったの
は、木村鉄山先生のはからいでした。先生は明治中期の
政客ですが、明治後期は企業家、大正以後は趣味家です。
戻る
堕落論	
 ちくま文庫 坂口安吾全集14	
 初出誌:「新潮」	
 発行年月:S21.4	
戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。人間だから堕
ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ。だが人間
は永遠に堕ちぬくことはできないだろう。なぜなら人間
の心は苦難に対して鋼鉄の如くでは有り得ない。人間は
可憐であり脆弱であり、それ故愚かなものであるが、堕
ちぬくためには弱すぎる。戻る

〔第一部〕 第一章 一九二八−三二年 その一	 
スキヤキから一つの歴史がはじまる	
 ちくま文庫 坂口安吾全集6
 初出誌:*「にっぽん物語 第一部」の改題 
               「新潮」新潮社	
 発行年月:S24.3〜7		
人間は何のために生きているのだろう。自分はなぜ、何
のために、生れてきたのだろう。何をしたらいいのだろ
うか。それらのことを思うと、心細さが身にしみて、小
万はすべてを忘れ、ただ茫然と立ちすくんでしまうばか
りであった。戻る
我が人生観(八)
安吾風流譚	
 ちくま文庫 坂口安吾全集15	
 初出誌:*連載 「新潮」
 発行年月:S25.5〜S26.1	
私は谷底へ落下しながら、アア、いよいよ死ぬのか、な
んだ、死ぬ時は、こんな気持なのか、と一瞬のうちに思
った、私の頭に閃いたことは、それだけだった。そして、
なんでもないもんだナ、と思った。なんでもない筈であ
る。疲労コンパイ。その極に達して、あらゆる力を失っ
たというアゲク自然に谷底へ落ちたのである。戻る

行形亭(いきなりや)
小林さんと私のツキアイ
 ちくま文庫 坂口安吾全集16	
 初出誌:『小林秀雄全集第8巻』(月報)創元社
 発行年月:S26	
大宮から食堂車がひらいたので、二人で飲みはじめ、越
後川口へつくまで、朝の九時から午後二時半まで、飲み
つづけたね。戻る
明治開化安吾捕物帖
石の下
 ちくま文庫 坂口安吾全集12	
 初出誌:「小説新潮」	
 発行年月:S26.4
彼はすでに多くのことを知っているに相違ないのだ。も
しも天鬼が「石の下」という碁の筋のことを知っている
なら、タナグ山中を歩いているという甚八の怖しさが身
にしみて分かる筈なのだ。千代は茫然と考えこんだ。
戻る

安吾生家跡
フシギな女
 ちくま文庫 坂口安吾全集16	
 初出誌:「新潮」
 発行年月:S26.4
小説家はどんなにバカげた読みちがいを論拠に悪評され
ても、それを反駁したところで水カケ論で、ただ自己弁
護だと思われるだけがオチですね。ですから小説家は別
に反駁もせずに見送っているわけですが、評論家がいか
にバカであるかということは、その機会あるときには云
っておく必要があると思います。戻る
新魔法使い	
 ちくま文庫 坂口安吾全集7
 初出誌:「別冊文芸春秋」
 発行年月:S26.5
私はコリーについては今もって甚だしい愛着をもってい
る。コリー以外の犬はあまり飼いたいとは思わない。特
に日本犬は、もうタクサンだ。バカだからである。(中
略)日本人の義理人情の一番わるいところ、バカなとこ
ろを、そこだけ選んで身につけているようなのが日本犬
である。戻る

安吾碑「ふるさとは語ることなし」
光を覆うものなし
 ちくま文庫 坂口安吾全集16	
 初出誌:「新潮」
 発行年月:S26.11
一通の例外は新潟県三条市の某氏から。私の告発は私利
のためか、公共の利益のためかという長々と理窟を書い
たもの。この人だけが競輪を知らない人であった。
戻る
安吾史譚
直江山城守
 ちくま文庫 坂口安吾全集17
 初出誌:*連載 「オール読物」
 発行年月:S27.1〜7
謙信、山城、幸村と三人ならべると、私は山城が一番好
きである。山城が一番素直で、ひねくれたところがない
せいもあるが、天分も一番すぐれているように思う。
戻る
明日は天気になれ
冬の怪談	
 ちくま文庫 坂口安吾全集18	
 初出誌:「西日本新聞夕刊」
 発行年月:S28	
そして日本にこれほど怪談がはびこり栄えたというもの、
泣く子と地頭にかてない庶民が権力に抵抗する最後のも
のとして、これしか武器がなかったせいかも知れない。
戻る
決戦川中島
上杉謙信の巻−越後守安吾将軍の奮戦記−
 ちくま文庫 坂口安吾全集9
 初出誌:「別冊文芸春秋」
 発行年月:S28.8
しかるに余が砂丘を半分降りたころには、足の裏の焦熱
地獄に気も狂わんばかりであった。余は荒れ馬の如くに
砂丘を降り、デングリ返しを打ったけれども、まだ海ま
では七八間の距離があった。戻る

新潟市役所の雄松、雌松
裏切り
 ちくま文庫 坂口安吾全集10	
 初出誌:「新潮」
 発行年月:S29.9
阿久津のトオサンはいわゆる酸いも甘いも噛【旧字】み
わけた苦労人でお気に入りには毎日でもタダメシを食わ
せてくれる人ですが、バカではありませんから斜陽族の
乞食演技にコロリといくはずはありませんが、トオサン
がシンから日野を信用するに至ったのは村社八千代の一
件からでした。戻る
豊島さんのこと	
 ちくま文庫 坂口安吾全集16	
 初出誌:『現代文学全集40』(月報61)筑摩書房	
 発行年月:S30	
太宰も田中も半獣神で半貴族で、その壁にぶつかって自
滅したようなものであるが、豊島さんは彼らにとってい
まわの神父のようになつかしい存在でもあり、また自殺
を思い止まらせるには全然無力な清潔な精霊でもある。
戻る
安吾新日本風土記
富山の薬と越後の毒消し
《富山県・新潟県の巻》
 ちくま文庫 坂口安吾全集18	
 初出誌:*連載 「中央公論」
 発行年月:S30.1〜3	
富山の薬売りと越後の毒消し売りは表面似たようであり
ながら、内実は非常にちがっているのである。
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土の中からの話
 ちくま文庫 坂口安吾全集3	
 初出誌:*初出誌未詳		
先日徹夜して小説を書きあげたら変に心臓がドキドキし
て息苦しくなってきたので、書きあげた五十枚ほどの小
説を胸にあててみた。夏のことで暑いからふと紙のつめ
たさを胸に押し当ててみる気持ちになっただけのことで
あるが、心臓の上へ小説を押し当てていると、私はだら
しなくセンチメンタルになって、なつかしさで全てが一
つに溶けてゆくような気持になった。戻る



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