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蒼茫夢 狼園 北と南 日本の山と文学 日本文化私観 剣術の極意を語る 二流の人 露の答 堕落論 火 安吾風流譚 小林さんと私のツキアイ |
石の下 フシギな女 新魔法使い 光を覆うものなし 直江山城守 冬の怪談 決戦川中島 裏切り 豊島さんのこと 富山の薬と越後の毒消し 土の中からの話 |
蒼茫夢 ちくま文庫 坂口安吾全集1 初出誌:「作品」 発行年月:S10.4 翌日の早朝、宮内で乗換え、まじかに海の見える停車場 で降りた。そこが鯨波だった。戻る | |
地獄極楽小路 |
狼園 ちくま文庫 坂口安吾全集2 初出誌:*未完 「文学界」 発行年月:S11.1〜3 私は肉親に就て物語ることがまことに不快だ。それとい うのが肉親に特別の愛や憎しみを寄せているからではな く、むしろ彼等に愛も憎悪も感じることがないからであ る。それにも拘らず、肉親と私との事々のつながりに係 わる感情が、決して自然のものでない愛や憎しみを強制 する、その不自然とわずらわしさが不快なのだ。 戻る |
北と南 ちくま文庫 坂口安吾全集14 初出誌:「新潟新聞」 発行年月:S12.1/13(14付) 私は佐藤春夫や井伏鱒【旧字】二の郷愁に深い共感を覚 えがちだが彼等の故郷も郷愁もおよそ私のそれと違った 明るく暖かい南方色にみちている。然し又、私の作品を 愛し、特にその郷愁的色調を愛す人々の最も多くに南国 人を見出すという事実を附け加えたい。戻る | |
日本の山と文学 ちくま文庫 坂口安吾全集14 初出誌:「信濃毎日新聞」 発行年月:S14.8/16〜8/19 馬琴が地図入りで紹介している伝説のひとつに佐渡二ツ 岩の弾三郎という狸がある。前記の断り書きも、この狸 のくだりに有るものである。戻る | |
日本文化私観 ちくま文庫 坂口安吾全集14 初出誌:「現代文学」 発行年月:S17.2 昔日本に行われていたことが、昔行われていたために、 日本本来のものだということは成立たない。外国に於て 行われ、日本には行われていなかった習慣が、実は日本 人に最もふさわしいことも有り得るし、日本に於て行わ れて、外国には行われなかった習慣が、実は外国人にふ さわしいことも有り得るのだ。模倣ではなく、発見だ。 戻る |
柾谷小路 |
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剣術の極意を語る ちくま文庫 坂口安吾全集14 初出誌:「現代文学」 発行年月:S17.10 三年前、小田原に住んでいたとき、一ヶ月ばかり留守に して帰ってみたら、勝手口の南京錠が外されており、内 側から鍵がかかっていた。入口の戸、雨戸、一つ一つ調 べてみたが、みんな内側から鍵が下りている。つまり内 側には何者かがいる証拠である。戻る |
二流の人 ちくま文庫 坂口安吾全集5 初出誌:*「黒田如水」の改題 「現代文学」 発行年月:S19.1 この開運は一命をはって得たもの、生命をはる時ほど美 しい人の姿はない。当然天の恩寵を受くべくして受けた けれども、悲しい哉、この賭博美を再び敢て行うことが 無かったのだ。ここに彼の悲劇があった。戻る | |
三代目万代橋 |
露の答 ちくま文庫 坂口安吾全集3 初出誌:「新時代」 発行年月:S20.10 私が加茂五郎兵衛の電気伝記編纂に当ることになったの は、木村鉄山先生のはからいでした。先生は明治中期の 政客ですが、明治後期は企業家、大正以後は趣味家です。 戻る |
堕落論 ちくま文庫 坂口安吾全集14 初出誌:「新潮」 発行年月:S21.4 戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。人間だから堕 ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ。だが人間 は永遠に堕ちぬくことはできないだろう。なぜなら人間 の心は苦難に対して鋼鉄の如くでは有り得ない。人間は 可憐であり脆弱であり、それ故愚かなものであるが、堕 ちぬくためには弱すぎる。戻る |
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火 〔第一部〕 第一章 一九二八−三二年 その一 スキヤキから一つの歴史がはじまる ちくま文庫 坂口安吾全集6 初出誌:*「にっぽん物語 第一部」の改題 「新潮」新潮社 発行年月:S24.3〜7 人間は何のために生きているのだろう。自分はなぜ、何 のために、生れてきたのだろう。何をしたらいいのだろ うか。それらのことを思うと、心細さが身にしみて、小 万はすべてを忘れ、ただ茫然と立ちすくんでしまうばか りであった。戻る | |
我が人生観(八) 安吾風流譚 ちくま文庫 坂口安吾全集15 初出誌:*連載 「新潮」 発行年月:S25.5〜S26.1 私は谷底へ落下しながら、アア、いよいよ死ぬのか、な んだ、死ぬ時は、こんな気持なのか、と一瞬のうちに思 った、私の頭に閃いたことは、それだけだった。そして、 なんでもないもんだナ、と思った。なんでもない筈であ る。疲労コンパイ。その極に達して、あらゆる力を失っ たというアゲク自然に谷底へ落ちたのである。戻る | |
行形亭(いきなりや) |
小林さんと私のツキアイ ちくま文庫 坂口安吾全集16 初出誌:『小林秀雄全集第8巻』(月報)創元社 発行年月:S26 大宮から食堂車がひらいたので、二人で飲みはじめ、越 後川口へつくまで、朝の九時から午後二時半まで、飲み つづけたね。戻る |
明治開化安吾捕物帖 石の下 ちくま文庫 坂口安吾全集12 初出誌:「小説新潮」 発行年月:S26.4 彼はすでに多くのことを知っているに相違ないのだ。も しも天鬼が「石の下」という碁の筋のことを知っている なら、タナグ山中を歩いているという甚八の怖しさが身 にしみて分かる筈なのだ。千代は茫然と考えこんだ。 戻る |
安吾生家跡 |
フシギな女 ちくま文庫 坂口安吾全集16 初出誌:「新潮」 発行年月:S26.4 小説家はどんなにバカげた読みちがいを論拠に悪評され ても、それを反駁したところで水カケ論で、ただ自己弁 護だと思われるだけがオチですね。ですから小説家は別 に反駁もせずに見送っているわけですが、評論家がいか にバカであるかということは、その機会あるときには云 っておく必要があると思います。戻る | |
新魔法使い ちくま文庫 坂口安吾全集7 初出誌:「別冊文芸春秋」 発行年月:S26.5 私はコリーについては今もって甚だしい愛着をもってい る。コリー以外の犬はあまり飼いたいとは思わない。特 に日本犬は、もうタクサンだ。バカだからである。(中 略)日本人の義理人情の一番わるいところ、バカなとこ ろを、そこだけ選んで身につけているようなのが日本犬 である。戻る | |
安吾碑「ふるさとは語ることなし」 |
光を覆うものなし ちくま文庫 坂口安吾全集16 初出誌:「新潮」 発行年月:S26.11 一通の例外は新潟県三条市の某氏から。私の告発は私利 のためか、公共の利益のためかという長々と理窟を書い たもの。この人だけが競輪を知らない人であった。 戻る |
安吾史譚 直江山城守 ちくま文庫 坂口安吾全集17 初出誌:*連載 「オール読物」 発行年月:S27.1〜7 謙信、山城、幸村と三人ならべると、私は山城が一番好 きである。山城が一番素直で、ひねくれたところがない せいもあるが、天分も一番すぐれているように思う。 戻る | |
明日は天気になれ 冬の怪談 ちくま文庫 坂口安吾全集18 初出誌:「西日本新聞夕刊」 発行年月:S28 そして日本にこれほど怪談がはびこり栄えたというもの、 泣く子と地頭にかてない庶民が権力に抵抗する最後のも のとして、これしか武器がなかったせいかも知れない。 戻る | |
決戦川中島 上杉謙信の巻−越後守安吾将軍の奮戦記− ちくま文庫 坂口安吾全集9 初出誌:「別冊文芸春秋」 発行年月:S28.8 しかるに余が砂丘を半分降りたころには、足の裏の焦熱 地獄に気も狂わんばかりであった。余は荒れ馬の如くに 砂丘を降り、デングリ返しを打ったけれども、まだ海ま では七八間の距離があった。戻る |
新潟市役所の雄松、雌松 |
裏切り ちくま文庫 坂口安吾全集10 初出誌:「新潮」 発行年月:S29.9 阿久津のトオサンはいわゆる酸いも甘いも噛【旧字】み わけた苦労人でお気に入りには毎日でもタダメシを食わ せてくれる人ですが、バカではありませんから斜陽族の 乞食演技にコロリといくはずはありませんが、トオサン がシンから日野を信用するに至ったのは村社八千代の一 件からでした。戻る | |
豊島さんのこと ちくま文庫 坂口安吾全集16 初出誌:『現代文学全集40』(月報61)筑摩書房 発行年月:S30 太宰も田中も半獣神で半貴族で、その壁にぶつかって自 滅したようなものであるが、豊島さんは彼らにとってい まわの神父のようになつかしい存在でもあり、また自殺 を思い止まらせるには全然無力な清潔な精霊でもある。 戻る | |
安吾新日本風土記 富山の薬と越後の毒消し 《富山県・新潟県の巻》 ちくま文庫 坂口安吾全集18 初出誌:*連載 「中央公論」 発行年月:S30.1〜3 富山の薬売りと越後の毒消し売りは表面似たようであり ながら、内実は非常にちがっているのである。 戻る | |
土の中からの話 ちくま文庫 坂口安吾全集3 初出誌:*初出誌未詳 先日徹夜して小説を書きあげたら変に心臓がドキドキし て息苦しくなってきたので、書きあげた五十枚ほどの小 説を胸にあててみた。夏のことで暑いからふと紙のつめ たさを胸に押し当ててみる気持ちになっただけのことで あるが、心臓の上へ小説を押し当てていると、私はだら しなくセンチメンタルになって、なつかしさで全てが一 つに溶けてゆくような気持になった。戻る |